2023.06.04

休み時間の過ごし方について

 塾生の中に、休み時間は友達と話したりして過ごし、授業が始まってから、「先生、トイレに行っていいですか。」と、トイレに立つ者がいる。本来は休み時間に済ませるべきだが、もしかしたら、便意を催したのが授業開始のタイミングである可能性もある以上、「行くな」とも言えず、むろん、許しはするのだが、その子が帰ってくるまで、授業をストップするわけにはいかない。そして、わずかな時間であれ、話を聞いていない時間がある以上、学習効果はまちがいなく下がり、理解度は必ず落ちるのだ。トイレに立った者が帰って来てから、同じ話をすることはない。まじめに授業を受ける生徒にとって、それは無駄な時間となってしまう。

 

 小6特進科生の休み時間の使い方を紹介する。全員ではないが、有効に休み時間を活用している。

 縦に3つも4つも授業が続くので、休み時間は休憩して、脳や身体を弛緩させることも必要だろう。

 ところが、何人もの塾生が、休憩時間に学校の宿題をしている。漢字ドリルであったり、計算ドリルであったり、誰に言われるでもなく、休憩時間になると自らせっせと宿題にとりかかるのである。家に帰ってからでは、宿題をする時間がないという事情もあるだろう。そして、彼らは意図してか否かは別にして、すきま時間の有効な使い方を知り、実践している。

 もちろん、授業開始後にトイレに立つこともない。難しいことを教わるからでもあろうが、授業を、解説を聞かないといけないことを完全に理解している。

 2コマ連続で私の授業が続く曜日がある。4月、休み時間を取らずに授業を続けたことがあった。1コマ目の終了間際、何人かの生徒が、難解な解説内容を理解し、「なるほど、そうやるのか。」という表情を見せたことがあった。ここは絶好のチャンス、逃してはいけない、知識をしっかり定着させ、さらに発展的な内容まで教えようと即断した。休みを挟むと、集中力がリセットされる。それは、難解な解説内容の理解を妨げてしまうことにつながる。子どもたちには「休み時間は取らない。ただ、その分早めに終わるから。」と告げ、授業を続けたのである。

 結果として、早めに終わることもできずに、一部の塾生から猛抗議を受けたのだが、その塾生は、普段、休み時間に宿題をすることはない。生徒との「約束」を破ったことは素直に謝罪しなければならないが、小学6年生に、一部、中学校の学習内容さえ超え、高校の学習内容まで踏み込んで教える必要がある以上、稀にこうしたことも起きてしまうのが特進科の授業である。毎回休み時間をとばしているわけではない。

 授業を続けた私の判断はまちがっていなかったと思う。志望校合格のために必死でがんばる子どもたちの学力を伸ばし、得点力のアップを図るのが、特進科の授業における本来的な使命なのだ。

 ただし、学校の宿題をする時間が削られてしまった塾生に対しては、申し訳なく思うのも事実である。