2024.04.08

思い出を紡ぐことについて ①

 先週土曜日、桜を見るため京都に赴いた。

 まず向かったのは、「渉成園」。ここの桜は「満開近し」という風情である。美しい。この小文を書き出したのも、庭園内の散策をしながら、あれこれ思いを巡らせつつのことである。

 「あの日」は、清水寺に足を運んでから、ここに来た。そして仁和寺で「大先生」と落ち合い、高台寺のプロジェクション・マッピングを観覧し、夜桜を堪能した後、円山公園の枝垂れ桜を前に、私にとって究極の美と邂逅したのであった。

 あれから、10年ほどの歳月が過ぎ、「殿下」こと、「大先生」は、一昨年、志半ばでこの世を去った。今、こうして昇英塾に戻り、「殿下」の居なくなった穴を埋めるべく、この1年間、自分なりにがんばったつもりだ。高校受験は、合格点をつけられるだろうが、中学受験は、大きな成果を挙げられた一方、志望校に導けなかった大きな悔いを残すことにもなり、「殿下」に叱られてしまう、そんな「功罪相半ば」するといった状況である。

 中学受験から高校受験、そして春期講習と、ここ何年かで最も忙しい3か月間を走り抜けた。この春からは、特進科講師としての職責を果たしながらも、名張本校の教室長としての重責もこなさなければならない。気持ちを一新するためと、思い出を紡ぐために、「あの日」訪れた場所を再訪しようと思いいたった次第である。