2024.06.15

超一流講師による「特別授業」 について ⑨

 超一流講師による「特別授業」は、受講した子どもたち全員に対して、「文型の理解」「学習の進め方」の理解につながった。質疑応答の時間からは、それぞれに対して、「親や兄弟との距離の取り方」「読書の大切さ」「勉強することにより、おもしろい話ができるようになる」等々の気付きにつながった。

 私の教務力不足が明らかになることに対しては、多少のためらいがなかったと言えばウソになる。私の授業では、「文型」学習の意味や、内容の理解につながらなかった生徒の全員が、「文型」について腑に落とし、「よくわかりました。」の大絶賛であったからである。

 ただし、私は平均的な塾講師、相手は超一流講師である。そもそもの教務力に、比較にすらならない大きな差がある。したがって、私の実力不足は、十分な反省と改善に向けたきっかけとし、原文のまま掲載したのである。

 驚いたのは、超一流講師の彼が、大変忙しいにもかかわらず、私が毎日アップした子どもたちの感想文、質問に目を通し、すべての子どもたちに対して、毎日、「返信、回答」を詳細に書いてくれたことである。  

 あちらこちらから、引く手あまたの人気講師、授業だけでも相当の数をこなしている。野球で鍛えた肉体を今もジムに通って鍛え続けてはいても、ちょっと働き過ぎではないかと思えるほどである。  

 実際、「特別授業」をしてくれた日、終わってから、食事に誘うと彼が言った。「申し訳ありません。今から名古屋に行ってきます。」プリントを届けるのだという。郵送したらいいのでは、と問う私に対して彼が答えた。

 「私が直接行って、手渡すことに意味があるんです。」

  今回、忙しい中、時間を作って昇英塾を訪れ、子どもたちに大きな影響、気付きを与えてくれた。そして、忙しい時間の合間を縫って、一人ひとりに対して、具体的かつとても有意義な「回答」を寄せてくれたのである。ありがたいことだ。「特別授業」を受講した子どもたちも、それを十分理解してほしい。

 ブログ「『について』について ④」 で、三木清著「人生論ノート」の一節を紹介し、私自身の解釈を書いた。難解な文章である。そこで彼に、私の解釈に誤りがないかどうかチェックしてほしいと依頼したら、解説付きで答えてくれた。前半一段落と後半一段落のうち、後半を引用する。彼には許諾を得てある。

 「ニーチェは、真の自由は自己の内なる秩序、つまり自己統制と自己創造から生じると考えました。自由は単に外的な束縛からの解放ではなく、自己の意志による秩序の確立です。したがって、人格はこの内的秩序を反映するものです。よって解釈には整合性があると考えます。」

 超一流講師の実力がこの返信からもおわかりいただけるかと思う。付け焼刃の知識で書ける代物(しろもの)ではない。英語、数学における教務力のレベルが非常に高いことはすでに明らかだが、それを超える可能性の高い国語の教務力はもちろん、広範な学識を有する教育家であることをも、雄弁に物語るものと言えよう。

 紛れもない超一流である。