2024.06.21

子どもたちからの評価について ①

 中学受験は、中高一貫の進学校を目指すご家庭、その子どもが受験するものである。多くの中学生が受ける高校受験と違って、小学校での学習内容をはるかに超え、中学内容、一部高校内容にまで踏み込んで教えていかなければ、難解な入試問題を解き、合格に導くことはできない。中学受験は、もっぱら特進科が担当する。そこで国語を担当する以上、「書く」行為を多くさせ、「記述式」問題への対応にあてる。

 昨年、ブログにアップした「新・実況中継」をまずご覧いただきたい。その後、「特進科の印象的な思い出」という題で書いてもらった作文を紹介する。誤字脱字の訂正、一部加筆している。

 

    新・実況中継 ⑤

小学6年生の授業  

「できるようにさせる力というのも、いうまでもなく先生としての実力だ。習っているときにはひたすらつらかったけれども、続けたら力がつき、好きになった、というタイプの授業もある。とくに語学の場合などはそういう先生がいる。

塾などでは、力をつけさせられないと、生徒がやめてしまいかねない。そういう厳しい環境の中にさらされているわけだ。」

49日実施 浜学園 公開学力テスト 小6国語 大問三より引用。原典は齋藤孝「試験について考え直す」・『教育力』〈岩波書店〉所収より)

 

「と、この著者、齋藤先生はおっしゃってる。オレは斎藤先生の著書を何冊も読んでる、いわば、ファンなんや。で、オレは君たちにとって、どんな先生なんやろか。」

 

男子生徒A 「あんな、先生の授業はな、全然おもろないねん。(笑)全然おもろないねんけど、話は長いねん。(爆笑)」

 

「まぁそんだけ、言いにくそうなことをズバズバゆうてくれるなぁ。(笑)ったく、ホンマ。Bさんは、どうや?」

 

女子生徒B 「でも、先生はいろんなことを教えてくれるから、力がつくと思います。」

 

「えらい!ええことゆうやないか(笑)。さすがは、Bさんや。『おもろない』とか、『話が長いとか』(笑)、そんなんやのうて…」(以下省略)

 

「特進科の印象的な思い出」

 私の特進科での印象的な思い出は、国語の~先生の授業で、「オレ(~先生)はどんな先生か。」と言ったときです。先生もブログに書いた所です。(筆者注・「新・実況中継 ⑤」を指す)『確かに(笑)。』と心の中でつぶやきながら、『もし自分があてられたら、なんて答えよう?』ということを考えてました。私なら…

「先生にギャグ性はないですが、その分いろいろなことを教えてくれるので役に立ちます!」という感じですね。これからも勉強をがんばっていきたいと思います。

 

 昨年のことだ。64日の日付が記載されている。

 「全然おもろない。」と言われても、それを恥ずかしいとは感じない。「ギャグ性はない」も同様である。一方、「力がつくと思います。」「いろいろなことを教えてくれるので、役に立ちます!」はうれしい評価である。改めて言うまでもなく、子どもを合格に導くために授業をしているのであって、子どもを笑わせるために授業をしているわけではない。

 確かに、「話は長い」と思う。勉強だけを教え、得点力を上げて志望校合格に導くことだけが、特進科担当講師の仕事ではないと信ずるからである。レベルの高い文章を読む中で、子どもたちの人間的成長につながる、あるいは、豊かな感性を育むことにつながる、そう思ったときは、そこから派生して、「脱線」する。