コソアド言葉とは、「これ、それ、あれ、どれ」や「この、その、あの、どの」といった、頭文字に「こ・そ・あ・ど」がついた言葉の総称です。文法的にもう少し詳しく説明すると、「れ」で終わるコソアド言葉(最初に例として挙げたもの)は、代名詞と呼ばれます。「の」で終わるコソアド言葉(二つ目に挙げたもの)は連体詞と呼ばれます。「こう、そう、ああ、どう」は副詞と呼ばれます。ほかにもまだたくさんありますが、三つの「品詞」があるこのコソアド言葉は非常に便利で、同じ言葉をくり返し使う大変さを軽減してくれるすご腕の言葉です。
ちょうど今は、個別懇談の時期なのですが、塾生のお母さまは学校の先生をされていて、国語の先生が急に体調を悪くされ、急きょ、そのクラスに入られたそうです。問題に、「『このことから』が指し示すものを書きなさい。」とあって、ある生徒が、「先生、『このことから』って、どこにあるんですか。」と言いながら、「このことから」の後の部分をずっと読んでいっていたそうです。
「これでは、答えから離れていく一方ですが、クラスの半数以上がこういう状態なんです。」と私に教えてくださいました。
「ホンマでっかいな。」とは言わず、「えー、そうなんですか!」と返答したのですが、にわかに信じられない、それほどインパクトのあるお話でした。
名張本校所属のみなさん、「このことから」には、連体詞「この」が使われていますね。「このこと」がどこに書かれているか、わかりますか?
そう、「このこと」は、その言葉の前にあります。前に、一定量の文章が書かれていて、それを受けて、「このことから」という言葉を使っているのです。
コソアド言葉は、別名、「指示語」とも呼ばれます。国語のテスト、これは学校で行われるものでも、塾内模試でも、あるいは、中学入試や高校入試の国語においても言えることなのですが、指示語の指示内容を問う設問は、必ずと言っていいほど出題される、非常に大切な問題です。読解力の基礎力を見るための、もっともわかりやすい設問だからです。
指示語の全てが前に書かれるわけではなく、例えば明治の大文豪、夏目漱石(なつめ・そうせき)の「夢十夜」という、十の夢を書いた短編小説は、そのすべてが「こんな夢をみた。」というフレーズで始まります。「こんな」は連体詞と呼ばれるコソアド言葉の一種ですが、この例では「こんな夢」の内容は、後に書かれることになります。
しかしながら、国語のテスト、という観点で見ると、そのほとんどが、コソアド言葉の前から探すことになります。
知ってるよね?