「算数的読解力」を身に着けるためにはどうすればいいのでしょうか。
「割り算」を例に挙げ、書かれた文章から、どう式を立て、どう計算するのかや、まちがいの例なども図で示しながら、玉井先生は次のように強調されました。
「概念を教えないとダメなんです。」
概念を教えるのは、「母語」たる「日本語力」つまり、「国の言語」としての「国語」によるでしょう。概念がわかって初めて「算数的読解力」が養われるという先生のお話は、目から鱗が落ちる思いでした。
前項で書きましたが、論理的思考力を養成するための国語と算数という科目を、国語はことばをベースにし、算数は数字をベースにする、私のこのような考え方では、国語と算数の学習を別物に捉えてしまう結果を招いてしまいます。一方、玉井先生のお考えでは、国語の中にも算数があり、算数の中にも国語があるという、いわば、一見二つの全く異なるように見える科目を大きな一つの科目として捉えておいでなのです。「概念を教える」ことにおいて、国語、算数双方が同時に必要であり、アプローチに多少異なるところはあるにせよ、別の科目として考えるのはよくないことだと気がついたのでした。
「国語」「算数」という「科目」としての枠を超えて「概念を教え」、その論理が子どもたちに伝わった時、「算数的読解力」が身に着くと玉井先生はおっしゃっている、これが私の理解でした。