2024.05.15

子どもたちの作品を紹介した後に

 小、中学生3人ずつの計6「作品」を紹介した。今回、選に漏れた「作品」の中にも、よく書けているものがあったことは、ここに記しておきたい。

 連日のアップは、率直に言って相当大変だった。自分自身で課したものであり、大変なのは覚悟の上ではあったが、「中間テスト対策」の期間なので、補習やら、子どもたちへの課題の伝達やら、普段以上に忙しく、また、社内の各部署から「~日までに~を準備せよ。」という指示が飛んできたりもするから、教室長に求められる職責の重さはわが身にずしんとのしかかり、また何と言っても機械オンチの自分にとって、普通の人より時間のかかる事務作業も多く、気苦労も絶えなかった次第である。

 そんな中、子どもたちの作品を読み込み、そのまま打ち込み、コメントをつけてアップする作業で得られる、満ち足りた幸福感に包まれる瞬間もあったのである。まず、私の難しい「注文」に対して、それぞれが頭をひねりながら向き合い、ことばの意味を調べたり、繰り返し読んだりする中で、少しずつ見えてきたもの、理解できていったものなどが、率直な表現を通じて書かれていたからであった。確かに、見当はずれなことが書かれているものもあったし、論理の飛躍が見られたものもあった。だが、それぞれがその時点で持つ、自分の語い力、表現力、知識を駆使して書いたものであることはまちがいなく、その行為が無駄になることは絶対にない。

 言語化することは、よほどそういう行為が好きな者は別にして、多くの子どもたちにとって邪魔くさく、できればやりたくないことになるだろう。しかしその行為を通してしか、顕現されない能力や学力もあると確信している。だからこそ、読ませ、書かせるのである。

 課題に向き合い、言語化、文章化できた自分を自分で評価してほしい。うまく書けたかどうかは別。まずは今まで考えたこともなかったような、問いに対する答えが必ずしも一つに集約さるわけではない事がらについて考察し、ことばの働きやそれを学ぶ意義について、考えをめぐらした。その経験を今後の国語学習につなげていくのは言うに及ばず、入試に向けての原動力にしてもらえれば、こんなにうれしいことはない。